日野/デュトロ(XZU605M)~N04C オイルクーラーからの水漏れ修理~「自動車」
2017/01/12
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Contents
日野/デュトロ(XZU605M)オイルクーラーからの水漏れ修理
車両は日野自動車のデュトロ(XZU605M)
エンジン型式はN04C
このデュトロはトヨタ自動車でも販売されており、トヨタ自動車での車両名は「ダイナ」になります。
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冷却水サブタンクから冷却水がもれてくる
この日野自動車のデュトロの冷却水のサブタンクからの水がこぼれている!との事でお客様からお電話がありました。
トラックですので仕事で使っているので今は車をとめれないらしく現場に出張作業車両で確認する事になりました。
確かにサブタンクを確認すると規定以上に満タンに入った冷却水が入っており、その下には道路に液体がこぼれた後がありました。
道路にこぼれた液体を確認すると、緑色で臭いもクーラントの臭いがするので冷却水として判断できました。
冷却水温度が下がっていて、ラジエターホースに圧力がかかっていない事を確認し、ラジエターのラジエターキャップを開けてみました。
すると冷却水が冷えてきたとはいえ、ラジエター内の冷却水が少ないような感じもしたのでジョッキに1リットルの水を入れてみると、ジョッキ内の水が1リットル完全にはいりました。
冷却水の温度が上昇するとラジエターキャップに規定以上の圧力があがると、ラジエターサブタンクに冷却水が流れ、冷却水温度が下がると負圧になりラジエターサブタンクの冷却水がラジエター内に吸い込まれるのですが、ラジエターサブタンクに規定以上の冷却水が流れ込み、吸いこみができないのかも。
もしかして、「ラジエターキャップの不良?」と疑いましたが、半年前にラジエターキャップを新品に交換しているのでまずラジエターキャップでないだろう!と、思いつつ中には製造不良等もあるので、ラジエターキャップテスターにかけてみる事にしました。
ラジエターキャップテスターでは圧力をかけて圧力がリリーフする規定の圧力を確認する事はできても、負圧側のチェックができません。
現場に出張できているので予備のラジエターキャップがないので試しに、別の日野自動車のデュトロとラジエターキャップを入れ替えて確認してみる事にしました。
これで様子を見てもらい明日ラジエターサブタンクの確認する事にし、現場から帰りました。
しかし、なぜ?冷却水のサブタンクが規定以上の満タンのなるのかを考えてみると
■冷却水経路の水漏れ
■オーバーヒート等によるヘッドの歪及びヘッドガスケットの抜け
■人為的なサブタンクの水漏れ
この3つしか考える事ができず、自動車関連の修理方法は消去法ですのでひとつひとつ診断する事になりました。
翌日、トラックの置き場に行き2台のデュトロを確認すると、1台は正常で、やはり言われていた1台の方のデュトロだけがラジエターサブタンクの冷却水が規定以上の満タンになっており、原因はラジエターキャップではなさそうである。
これは車両本体のエンジンに原因があると判断。
そしてトラックを止めて頂ける事を確認してデュトロを預かる事になりました。
その時に、オーバヒートもしていなければ、ラジエター内はラジエターサブタンクに水の給油をしていない事も確認できたので冷却水経路の故障で問題ないであろう。
冷却水経路のプレッシャーテストとヘッドガスケットの確認
日野自動車のデュトロを預かりエンジン水温も上昇し、ラジエターキャップにタオルをまいてラジエターキャップを取り外し、ラジエターのラジエターキャップのとろこにラジエタータンクを取付エンジンの回転を上げていくのですが、どうやらヘッドガスケットに異常はない様子。
もし、ここでヘッドガスケットに異常や、ヘッドのゆがみがあればラジエターに吹き替えしガスが現れます。
ヘッドガスケットやヘッドにゆがみがないことを確認した後は、ラジエタープレッシャーテストで冷却水経路に圧力をかけて水漏れ点検を行います。
しばらくすると、下に緑色をしたクーラントが落ちてきました。
やはり水漏れが原因のようです。
この水漏れが、ラジエターサブタンクの水をオーバーフローさせていたようです。
あとはどこから漏れているかを確認すると、エンジンオイルを冷却するオイルクーラーから水漏れが起きていたようです。
オイルクーラー脱着・ガスケットの入替
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やっとの事で水漏れの原因がわかりあとは水漏れを修理していきます。
栖水漏れ原因は、水冷式オイルクーラーとエンジンブロックの継ぎ目になるので、水冷式オイルクーラーの脱着にとりかかります。
このデュトロはキャビンが跳ね上がり方式でキャビンを上げると水冷式オイルクーラーが見えてきます。
ただ、トヨタ自動車のダイナも同じ車なのですがダイナの方がキャビンが上がらないタイプが多いので作業的には少し困難な場所になります。
まずは、部品屋さんに依頼して部品図のイラストを頂き必要となる部品の注文にとりかかります。
水冷式オイルクーラーはエンジンオイルと冷却水の継ぎ目Oリングも交換します。
水冷式オイルクーラーとエンジンブロックは液体ガスケット(シールパッキン)となります。
デシュトロのキャビンをあげると水冷式オイルクーラーが見えるので作業は楽勝かと思いましたが、水冷式のオイルクーラーを止めているボルトがエキゾーストパイプが接触しボルトが抜けてこないのでエキゾーストパイプも取り外しになりますが、トラックのマフラー系統のボルトはすんなりと回らない事が多く、ボルトが折れる確率が高いです。
もちろん、このデュトロのエキゾーストパイプを止めているボルトが折れました。
ボルトがバイスプライヤーで掴めるのでガスであぶりすんなりと抜けてくれました、
念のためボルトの折れた部分をタップでネジ山を修正しておきます。
次に取り外すのは水冷式EGRクーラーパイプも取り外さなければいけません。
ここも念のためEGRクーラーの漏れを確認します。
少し余談になりますが、過去にいすずのフォワードであったのですが冷却水の水がなくなっていくのですが、ラジエターにラジエタープレッシャーテストで冷却水経路に圧力をかけていくのですが全く外装には水漏れがなく、ラジエタープレッシャーテストの圧力計の圧力が下がっていく事がありました。
原因を突き止めていくと、FGRクーラーからの水漏れがありました。 EGRクーラーから水漏れが起こると、再循環された排気ガスと混ざりシリンダーへ流れ込み、そのままマフラーに排出されていくので、トラックのドライバーさんも水漏れの確認が気づきにくくなります。 最終的には冷却水が減っていきオーバーヒートの原因となります。 |
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ホースが抜きにくいときは下の道具があると便利です。
ここまで取り外すと水冷式オイククーラー本体が外れてきます。
あとはゴム系統のOリングを交換し、シールパッキンを塗って組み付けていき、あとは外した部品を組み付けるだけです。
すべての部品を取り付けたら冷却水をいれてクーラントのエアー抜きを行い、エンジン水温の冷間時と温間時の2回をラジエタープレッシャーテスタで圧力をかけて水漏れがなければ修理完了です。
EGRとは?
「エキゾースト ガス リサーキュレーション」と言い日本語では「排気ガス再循環装置」といいます。 排出ガスの一部をエンジンの吸気に戻して混合気の酸素濃度を下げることで、混合気の燃焼温度を低くし、有害なNOxの排出量を少なくする装置。 最近のトラックには再循環させる排気ガスの燃焼温度を下げる為に冷却水を使うEGRクーラーが装着され排気温度の下がった排気ガスを再度燃焼室に送りる様になっております。 |
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